■スゴいことが起きる!?1000回への道、その53回目
【藤井雅範 × 花畑和幸】
●40代、50代に捧ぐ、仕事への向き合い方
花畑:今はお互い独立して活動していますけど、藤井さんは若い頃から独立志向はあったんですか?
藤井:全くなかったね。僕らの時代は入社したら先輩や上司に言われるがまま、でしょ(笑)。特にウチ(二人とも株式会社ワールド出身)は、アパレルなのに体育会系で先輩の言うことは絶対で。仕事も面白かったし、独立とか考える余裕もなかったね。
花畑:僕は実は入社して1年目の後半ぐらいから、いずれは独立したいと思ったんですよ。営業の仕事は、展示会で受注して、納品して、集金して…、この流れって若い社員もベテランもやってることは同じやん、これを20年も30年もやり続けるのか?とか生意気にも思っちゃって(笑)。
藤井:なかなかの視点やね〜(笑)。
花畑:でも営業ですからね、「モノづくり」がわからないことに気づいて。メーカーをやりたいのにやり方がわからない(笑)。当時の小売店さんとかに相談しましたよ。
藤井:小売店さん!? お客さんに相談したんや〜。それ(業界的には)スゴい話(笑)!。
花畑:会社でも上司にMD(=マーチャンダイザー。商品の開発から販売計画や予算管理までを行う業務)をさせてくれとお願いしまくって。その時の上司から「新規顧客10件見つけてきたら異動させたる」といわれて。
藤井:10件?? 新規ってそんなに取れるもん??
花畑:いや、取れないですよ、1回の展示会で1〜2件が良いとこです。
藤井:それをやったんや?
花畑:やりました。もう必死です!ちょっと無理矢理なとこもありましたけど…(笑)。
藤井:根性やね〜!で、約束通り、異動?
花畑:ハイ、そこは守ってくれましたね。で、3年間生産管理で物作りを学んで、その後5年間MDとして仕事しました。
藤井:なるほどね〜。僕の場合は当時、会社も卸がメインだったから、各店舗に行って美しくディスプレイして、が楽しかったのよ。会社からの評価もあったし、お客さんにも可愛がってもらったし。でも会社がSPA(企画、製造、小売までの一貫体制)をやり始めた頃に違和感を感じ始めたかなぁ。
花畑:まったく方向が変わりましたもんね。
藤井:会議とかに呼ばれるんだけど「ロジカルな発表ができない奴は会議に出なくていい!」と言われて。論理的なんてめっちゃイヤやし、悔しくてしょうがなかった。(ロジカルに説明できなくても)自分の培ってきた仕事は結果(売上)が出せる、っていう自信もあったしね。
花畑:「こうした見せ方でうまく行きました」だけではダメ、ってこと?
藤井:そう。だから自分で店舗に行って、入り口で入店客数をカウントして、色鉛筆でお客様の動線を色分けしてつけて…って店に張り付いて数字を取って資料を作って会議に出してたよ。
花畑:色鉛筆!? 今のようなデジタルな仕組み、なかったですもんね。
藤井:そのマニュアル的なやり方で一時はうまく行ったのよ。成果の出てる店の見せ方や動線を真似するわけだから。でもしばらくすると次の壁がやってくるわけ。
花畑:…今ならわかる気がしますね。
藤井:そう、「全部同じやり方でやってもうまく行かない」。その頃、ちょうどモール出店も始まって、年間、200店舗が新規オープンするわけよ。全店舗、僕の担当…って見れるわけ無いやん!!(笑)。で、全部同じやり方で横展開するんだけど、うまく行かない店が出てくる。
花畑:その頃かな、商品開発の方でも「デザイナーの個性はいらん!」という方針になってきました。
藤井:そう、「誰がやっても同じ仕上がりになるような仕組みを作れ」って。これって、一見、トレンドに沿ってるように見えるし、一時的には売上も上がるけど…。
花畑:同質化してしまうから、結局、没個性になる!
藤井:そう。ブランドが、メーカーが、それでいいのか?と。「誰でもできる」は、今の時代ならあっという間にAIに取って代わられるよね。その頃が疑問符の付き始めかな。
〜次回、「会社を立ち上げる!こだわることの大切さ」 へ続く〜
ニットで人を幸せにしたいーーー。
花畑和幸でした。
hbkkオフィシャル&オンラインショップサイト
hbkk.jp
有限会社アチェット 代表取締役
株式会社ワールドに15年勤務。営業、生産管理、商品企画を経験した後、2001年有限会社アチェットを設立。2017年秋、メンズブランド・hbkkを立ち上げる。
“プロフェッショナルに聞く~仕事、遊び、人生~ 第1回 ゲスト:藤井雅範さん(その1)” への323件の返信
コメントは受け付けていません。